ボーカルトラックを聴きやすくするために、ミックス時にコンプ処理を施すのは当然ですが、それだけでは不充分です。
そこで、DAWのフェーダー・オートメーション機能を使った「手コンプ」によるボリューム調整が重要になりますが、ボーカルのボリューム調整は時間も掛かり難易度が高いと感じている人も少なくないはずです。
今回、紹介するWAVES「Vocal Rider」は自動でボーカルのダイナミクス調整を行ってくれる魔法のプラグインです。「初心者ための即戦力ミックス&マスタリング・ツール」として選出させてもらいます。
Vocal Riderの特徴
リアルタイムにボーカル・ボリュームを自動補正
トラックにインサートするだけで、ボーカルトラックのレベルを自動的に調整してくれるのが、2009年に登場したボーカル・レベルのオートメーション・プラグイン「Vocal Rider」です。
プラグインを立ち上げボーカル・レベルのターゲット・レンジを設定すれば「Vocal Rider」がリアルタイムにボーカル・ボリュームを上下させ自動的に補正してくれます。
発売当初から話題を集め「Mipa award 2010」にノミネートされた「Vocal Rider」は、今ではオススメすることのできるプラグインとして定着しています。
以前、発売当時に即購入して「Vocal Rider | Wavesのボーカル用プラグイン」で記事を書きましたが、今でもよく使っています。
コンプとの併用
コンプの役割は音量を調整するだけではなく、コンプを通したことにより得ることのできるサウンド・キャラクターにもあります。
音量コントロールをコンプだけに頼るのは厳しい部分もありますので、ボリュームのオートメーションを書いてゆくことになります。
オートメーションを書く作業を「手コンプ」などと呼びますが、ボーカル・レベルのオートメーション・プラグイン「Vocal Rider」はその作業をリアルタイムに自動で行ってくれます。
動作はコンプレッサーとは異なり、トラックのサウンドのキャラクターを変えることはありませんので、コンプと「Vocal Rider」を併用するのがベストな使い方です。
細かな調整はやはり必要
オートメーションの書き出しもすることができる優れたプラグインではありますが「Vocal Rider」の後に、細かい部分を人間が追い込んでゆく調整はやはり必要になります。
大まかな調整は「Vocal Rider」が行い、オケのなかで聴こえにくいボーカルの音を上げたり、サビの頭で一番初めの音を突いてみたりなどの細かい修止は人間がやるという感じです。
クオリティーを求める人に関しては確かに「Vocal Rider」のみでは完結させることはできませんが時間は大幅に短縮することができます。
わたしの「Vocal Rider」の使い方
音量をコントロールするだけでなく、フェーダーの動きをオートメーションデータとして書き出すこともできるので、以前は感心しながら「Vocal Rider」の「オートメーションデータの書き出し」を行っていました。
しかし、わたしの最近の使い方は「Vocal Rider」の「オートメーションデータの書き出し」はしないで、そのまま、プロジェクト内にボーカルトラックだけ「Vocal Rider」をインサートした状態でバウンスしてしまいます。
この段階で確実に取り除くであろうボーカル録音時のノイズも同時に簡単に取り除いていますので、オケ内でどのようにボーカルトラックを聴かせるかだけに集中することができます。
わかりにくいかもしれませんが、画像の上のボーカルトラックが「Vocal Rider」での処理前で、下の画像が処理後となります。
この方法だとボリュームデータもゴチャゴチャせず、ボーカルに最適なコンプやEQ選びに集中できますので、時間が掛かってしまう人は、ぜひ試してみてください。
Vocal Riderを収録する製品
WAVES「Vocal Rider」は単品での販売のほか「Mercury」「Morgan Page EMP Toolbox」「Horizon」「Live」などのWAVESバンドル製品にも収録されています。
「Mercury」と「Horizon」には「Vocal Rider」だけでなく、
ベース・トラックのレベルを自動で調整してくれる「Bass Rider」も収録されています。
確かに「Vocal Rider」がなくてもミックスは可能ですが、ボーカルトラックの編集は本当に時間が掛かります。
そのため時間短縮の観点から考えても、1万円以下の販売価格なら持っておいても良いプラグインです。もちろんミックスがあまり上手くいっていない人には即戦力プラグインです。
コメント