名機マイクモデリングしたマイクシミュレーター「Mic Room」
IK Multimediaのマイクシミュレーター『Mic Room』にはレコーディングスタジオで定番のコンデンサーマイク、ダイナミックマイク、リボンマイクが収録されています。
使い方は本当に簡単で、入力ソースのマイク・モデルとターゲット・モデルのマイクを選ぶだけで、例えばダイナミックマイクの定番「SM58」などで録音したマイクサウンドがシミュレーターとはいえ高額なスタジオマイクで収録したかのような音に変えることができます。
プラグインバンドル『T-RacksMAX』にも収録されるPC版の『Mic Room』と、iPhone/iPad版の『Mic Room』がありますが、モデリングされるマイクは同じです。
ただし、PC版はすべてを使えるのに対し、iPhone/iPad版は標準マイクの他に、オプションでアプリ内課金となるマイクもあります。
ここでは主にボーカル録音に着目して、ほとんどマイクの知識のないボーカリストの人にもわかりやすいように『Mic Room』にモデリングされているマイクについて書いてゆきます。
Mic Roomの20種類のモデリングマイク
スタジオ録音で定番のNeumann、AKGのコンデンサーマイク、Shure SM58やSennheiser MD421などのスタンダード・ダイナミックマイク、そして、近年再度人気が出てきたリボンマイクなど全部で20機種のマイクが『Mic Room』にはモデリングされて収録されています。
1939年に発表のシングル・エレメントを採用した業界初の単一指向性マイク「Shure Model 55」をモデリングしたマイクなども収録されています。
もちろん、どのマイクもシミュレーターですので、本物と同じというわけにはゆきませんが、何十万もするコンデンサーマイクを自宅録音用に購入するのは現実的ではありません。
それを考えれば、コンデンサーマイク「Neumann U67」や「Brauner VM1」をはじめとする何十万もするスタジオマイクの音に近づけることのできる『Mic Room』は充分に合格点を出すことができます。
駆け出しのボーカリストの人だとマイクの知識がないのは当然ですが、収録されるマイクの特徴を知っておくと、歌っていて楽しみが広がるだけでなく、自分の声の特性を活かすことのできるマイクも見つけることができます。
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Bottle 563(モデル:Neumann CMV-563)
Condenser 67(モデル:Neumann U67)
Condenser 87(モデル:Neumann U87)
Condenser 170(モデル:Neumann TLM 170)
Condenser 12(モデル:AKG C12)
Condenser 414(モデル:AKG C414)
MD1b-FET(モデル:Groove Tubes MD1b-FET)
Tube VM(モデル:Brauner VM1)
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Dynamic 57(モデル:Shure SM57)
Dynamic 58(モデル:Shure SM58)
Dynamic 421(モデル:Sennheiser MD421)
Dynamic 441(モデル:Sennheiser MD441)
Dynamic 609(モデル:Sennheiser MD609)
Vintage Dynamic 20(モデル:AKG D20)
Dynamic 20(モデル:Electro-Voice RE20)
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Ribbon 121(モデル:Royer R121)
Ribbon 160(モデル:Beyerdynamic M160)
Velo-8(モデル:Groove Tubes VELO-8)
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Vintage Dynamic(モデル:Shure Model 55)
Old Telephone Mic(モデル:Old carbon phone capsule)
ボーカルにオススメのMic Room収録のコンデンサーマイク
『Mic Room』に収録されているなかで選ぶとボーカル用スタジオマイクとしてに個人的にオススメというよりは、お気に入りなのは「Neumann U67」と「Brauner VM1」です。
はじめて実際レコーディングスタジオで「Neumann U67」と「Brauner VM1」の音を聴いたときは感動に近いものがありました。
わたしが『Mic Room』を購入した理由の一つに「Neumann U67」をモデリングした「Condenser 67」が大きいです。
シミュレーターとはいえ、安価なソースマイクでも「Neumann U67」の音になると思うと気分的にも良い感じになります。
最近国内では、あまり見かけなくなりましたが、マイクシミュレーターだとAntaresのプラグインエフェクト「Mic Mod EFX」があり所有していますが、「Neumann U67」をモデリングしたマイクは収録していません。(AntaresはMic Mod EFXをアップデートする気もない感じです。)
また、ビンテージマイクではないですが「Brauner VM1」のナチュラルで原音に忠実な高解像度クリアサウンドは、さすがに70万円を超える価格で販売されていることだけのことはありますので、『Mic Room』を使っている人は、ターゲットマイクとしてぜひ「Tube VM(モデル:Brauner VM1)」を使用してみてください。
Mic Roomを活かす際のソースマイクの問題
高額なスタジオでは長きに渡り定番のマイクも多数『Mic Room』にはモデリングされていますが、問題となってくるのは、自分の所有しているソースマイクです。
一応、プロファイルにないソースマイクを所有している場合でも、マイク・モデルを切替えて好みをサウンドを見つけることはできますが、せっかくならプロファイルにあるマイクを所有しておきたいものです。
ただし、モデリングされているマイクの実物コンデンサーマイクとリボンマイクは、すべて高額で導入するのには現実的な価格ではありません。
そうなると価格的にダイナミックマイクの選択肢となりますが、ボーカル用として考えられるのは定番の「Shure SM58」と、「クジラ」という愛称で呼ばれている「Sennheiser MD421」になりますが「MD421」はやはり高額です。
iRig Mic シリーズという選択肢
もちろん「Shure SM58」という選択肢もありますが、わたしはiPhoneやiPadを所有している人には、あえて『Mic Room』のソースマイクとしてプロファイルが用意されている、IK Multimediaの『iRig Micシリーズ』をオススメします。
仮歌の段階ですが「iRig Mic Studio」で実際にボーカル録音してもらった数テイクを送ってもらいましたが、充分なクオリティーがあります。
さすがにメジャーシーンでのメインのレコーディングマイクとしては考えにくいですが、有料オンライン配信ならば「iRig Mic Studio」でも対応することができると思います。
もともと『iRig Micシリーズ』を活かすためにリリースされたのがiPhone/iPad版の『Mic Room』で、好評だったのでPC版が出たという流れだったので、『Mic Room』を利用する際のベストマイクは『iRig Mic シリーズ』なのかもしれません。
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